前回の記事では、東福寺の紅葉について紹介しましたが、今回は東福寺の中にある八相の庭と呼ばれる方丈庭園を紹介したいと思います。
東福寺は、通天橋から見た紅葉が有名ですが、八相の庭もなかなか興味深いものでした。
東西南北4つの庭
東福寺の八相の庭は、東西南北4つの庭からできています。
八相の庭の歴史は意外に新しく、昭和14年(1939年)に重森三玲(しげもりみれい)によって作庭されました。
四方に庭園を巡らせた庭園は、数ある庭園の中でも東福寺の方丈だけだそうです。
そして、八相の庭という呼び名は、釈迦の生涯で起きた8つの重要な出来事を意味する八相成道(はっそうじょうどう)に因んだものとか。
南庭
方丈に入って最初に見えるのが枯山水庭園の南庭です。
八相成道のうち蓬莱(ほうらい)、方丈、瀛洲(えいじゅう)、壷梁(こりょう)と呼ばれる四仙島と八海、五山を表現したものです。
南庭の中で、四仙島を表現したのが東側に置かれた複数の大きな石で、その周りに渦巻いている砂紋が八海を表しています。
また、南庭の西側にある複数の築山が五山を表現しています。
西庭
南庭からスタートして時計回りで庭園を観ていくと次に西庭が現れます。
きれいに刈り込まれたさつきと砂地からなる市松模様の西庭は、八相成道の井田市松(せいでんいちまつ)を表現しています。
井田とは古代中国の田制に因んだものです。
今回は訪れたのが秋だったため、さつきの花は咲いていませんでしたが、拝観案内に掲載された写真ではピンク色の花が咲いていました。
そして、西庭の北側に進むと通天台と呼ばれる舞台が設けられており、そこからは紅葉で有名な洗玉澗(せんぎょくかん)を一望できます。
まるで赤い雲が眼下に広がっているようでした。
北庭
通天台の右隣りにあるのが北庭です。
北庭は、ウマスギゴケと四角形の敷石を交互に配した庭園です。
苔の緑と石の白が調和しています。
また、庭の外には赤色と金色の紅葉が広がっており、なんとも色とりどりな庭でした。
東庭
そして、最後は東庭です。
白い砂の上に7つの石の柱が置かれた庭で、北斗の庭と呼ばれているそうです。
その名の通り、7つの石は八相成道の北斗七星の形に置かれています。
小さな庭ですが、なかなか趣のある庭ですね。
今回は、紅葉を観た後に庭園を拝観したので、あまり時間がなく、ゆっくりと観れませんでした。
拝観されている方の多くは、床に座ってのんびりと庭を眺めていましたが、時間があれば私もそうやってのんびりと庭を眺めていたかったですね。
東福寺の八相の庭へは、「Enjoy京都 街角の住人たち」さんも訪れたようで、東福寺 パート2 開山堂と方丈の記事で紹介されています。晴れた日に訪れたようで、写真が明るくきれいに撮れていますね。ぜひ、ご覧になってください。