京都市伏見区に建つ伏見稲荷大社(ふしみいなりたいしゃ)は、近年、海外からの旅行者から人気を集めています。
外国人が選ぶ人気の観光名所第1位にもなるほどですね。
伏見稲荷大社のどこに魅力を感じているのかというと、境内にたくさん並ぶ朱色の鳥居、通称千本鳥居のようです。
以前は、閑散としていた千本鳥居ですが、現在は観光客や旅行者の方がいっぱいで、なかなか前に進めなくなっています。
その千本鳥居ですが、昔からあったわけではなく、現在の景観になったのは、そんなに古い話ではありません。
江戸時代に鳥居の奉納が行われるようになった
JRの稲荷駅を出てすぐの場所に伏見稲荷大社の第一鳥居が立っています。
そして、参道を歩いていくと、楼門の前に第二鳥居が立っています。
第一鳥居も第二鳥居も朱色。
また、社殿も朱色をしており、境内全体で朱色が目立っています。
さて、伏見稲荷大社に鳥居が奉納されるようになったのは、江戸時代からです。
奥社参道に崇敬者が感謝の念を表すために鳥居が奉納されていき、現在の千本鳥居になりました。
しかし、現在のように朱色の鳥居がたくさん並ぶようになったのは、明治以降のことです。
京都高等学校社会科研究会編『京都に強くなる75章』では、伏見稲荷大社が所蔵する明治初年の境内絵図には、木の皮をつけた鳥居が6基描かれているだけで、朱色の鳥居は1基もなかったとされています。
したがって、現在のような朱色の鳥居がたくさん並ぶ千本鳥居ができあがったのは明治以降と考えられます。
昭和39年(1964年)の東京オリンピックや昭和45年の大阪万博といった高度成長を象徴する国際的イベントが大きなうねりとなり、現在の景観になったようです。
伏見稲荷大社の後ろにそびえる稲荷山には、数えきれないほど多くの鳥居が立ち、1万本くらいあるのではないかと言われています。
伏見稲荷大社の公式サイトによると、稲荷山神蹟の各茶店で申し込めば鳥居を建てられるそうで、1基建立するのに初穂料は30万円からとなっており、10号サイズになると189万円以上とのこと。
この初穂料を知ると、稲荷山に鳥居を建てるのは、軽い気持ちではできないですね。
奉納者は会社が多いので、商売がうまくいったお礼に鳥居を建立しているのでしょう。
一般の参拝者は、授与所で鳥居絵馬を授かり、願い事を書いて奉納することになります。
この鳥居絵馬も含めると、伏見稲荷大社に奉納された鳥居の数は1万基をはるかに超えるでしょうね。
伏見稲荷大社の千本鳥居は長い歴史を経て、現在の数になったように思えそうですが、意外とその歴史は浅いものです。
実際に千本鳥居の中を歩くとわかりますが、鳥居の奉納日は最近のものばかりです。
古くなった鳥居は撤去しているでしょうから、新しい鳥居が目立つのは当然ですけどね。
これからも海外からの旅行者がたくさんお参りに来ると、千本鳥居の奉納者も国際色豊かになりそうです。
なお、伏見稲荷大社の詳細については以下のページを参考にしてみてください。