10月30日から京都市上京区の京都御所で秋の一般公開が始まりました。
今回は11月5日までの1週間です。
私は春と秋の2回行われる一般公開には必ず行っており、2014年秋も当然のように初日から京都御所を訪れました。
解放された建礼門
京都御所の南側にやって来ると、建礼門が解放されていました。
建礼門は、時代祭などで開かれることはありますが、基本的には開いていることはありません。
なので、ここから中の様子を見れるのは非常に貴重なことなんですよね。
一般公開の入り口は、建礼門ではなく西の宜秋門(ぎしゅうもん)です。
警察官の方の手荷物検査を終え、いざ、御所内へ。
最初に見るのは、昇殿を許された者が参内する時の玄関である御車寄(おくるまよせ)です。
ここには、金の屏風の前に生け花が設置されていました。
そして、参内した者の控えの間である諸太夫(しょだいぶ)の間へと進みます。
格の高い順に虎の間、鶴の間、桜の間が並んでいます。
下の写真は虎の間の障壁画です。
お次は、天皇皇后両陛下の玄関である新御車寄(しんみくるまよせ)です。
ここには、牛車が展示されていました。
この牛車は八葉車と呼ばれる網代車の一種で、屋形に八葉の紋のあるのが特徴的です。大臣や公卿など最も広く使用されたものだとか。
来るときに見た建礼門。
今度は御所の中から建礼門越しに京都御苑内の景色を眺めました。
一段高いところから見下ろす感じは、平安時代のえらいさんにでもなった気分です。
大きな紫宸殿
建礼門を超えると、月輪未生流(つきのわみしょうりゅう)、嵯峨御流、御室流(おむろりゅう)の生け花が展示されています。
それらの中で最も印象に残ったのが、下の写真に写っている月輪未生流の生け花でした。
京都御所の東にある建春門付近のカエデが色づき始めていました。
京都御苑の紅葉は遅いので、まだ見ごろには1ヶ月ほど早いはず。
でも、今年の紅葉は少し早まりそうなので、例年よりも早めに紅葉狩りに訪れた方がよさそうです。
いつ見ても大きな建物だと感嘆してしまうのが紫宸殿です。
今回は、割と後ろに下がって紫宸殿を見ることができたので、全景を写真に収めることができるかと思ったのですが、あとわずかというところで両端が切れてしまっています。
ちなみに紫宸殿は即位礼など重要な儀式が執り行われる最も格の高い正殿です。
紫宸殿の後ろにある清涼殿を過ぎると、今度は板輿が展示されていました。
天皇の移動は鳳輦(ほうれん)などを使用していましたが、臨時的な行幸の際には板輿も使用されたとのこと。
なんとなく簡素な造りなのは、それが理由なのでしょうか。
人形や絵画の展示
小御所までやってきました。
ここでは人形が展示されていました。
展示されていたのは女踏歌(おんなとうか)と五節の舞です。
下の写真に写っているのは女踏歌です。
女踏歌は、正月の十六日の夜に行われる舞で、地を踏みしめ、拍子をとって歌いながら舞うそうです。
小御所の前には、御池庭が広がります。
雲ひとつない秋晴れ。何とも爽やかな景色であります。
小御所の隣の御学問所(おがくもんじょ)では障壁画が展示されていました。
その上段の間に展示されていたのが狩野永岳(かのうえいがく)の十八学士登瀛州図(じゅうはちがくしとうえいしゅうず)です。
唐の太宗(たいそう)が帝位につく前、文学館を開き18名の文士を集め彼らと文籍を論じたという故事を描いたものだそうです。
御常御殿(おつねごてん)に向かう途中、塀越しに赤く色づいたカエデの葉が見えました。
御常御殿の前に配された御内庭(ごないてい)は、ススキがシュッと天に向かって伸びていました。これも秋らしい景色ですね。
最後は御三間(おみま)へ。
御三間の東御縁座敷にある杉戸絵が展示されていました。
描かれているのは近藤梁渓(こんどうりょうけい)作の西王母です。
西王母の隣には皇后御常御殿の御寝(ぎょしん)の間にある岸岱(がんたい)作の四季花鳥図が展示されていました。
四季花鳥図は18面の襖絵で、東に春、南に夏、西に秋、北に冬の様子が描かれており、今回展示されているのは北側の襖絵です。
全ての建物と展示物を鑑賞し終わったので出口へ向かいます。
ところどころ桜の葉が赤く色づいています。
その上には抜けるような青空が広がっていましたよ。