「洞ヶ峠(ほらがとうげ)をきめこむ」という言葉があります。
この言葉は、有利な方に付こうと思って様子をみていることを意味します。
その語源は、天正10年(1582年)に羽柴秀吉と明智光秀が戦った山崎の戦いにまでさかのぼります。
筒井順慶の日和見
山崎の戦いは、羽柴秀吉と明智光秀にとっては、天下分け目の戦い。
この戦いに勝った方が、その後の天下統一に大きな一歩を踏み出すことになります。
当然、彼らを取り巻く諸将にとっても、合戦後の運命を大きく左右することから、どちらに味方するかは重要な決定事項となります。
この時、素早く決断したのが細川家でした。
細川忠興は、光秀の娘の玉(後のガラシャ)を妻としていたことから、光秀に味方するものと思われました。
ところが、忠興は玉を幽閉し、父の幽斎も出家して、光秀に味方することを拒否したのです。
この素早い決断により、細川家は後に秀吉に仕えるようになりました。
逆に素早く決断をしなかったのが、筒井順慶(つついじゅんけい)でした。
順慶は、光秀から加勢するように要請を受けていましたが、一向に動く気配がありません。
そう、順慶は、羽柴軍と明智軍のどちらが勝ちそうかをうかがっていたのです。
この時、順慶が日和見していたのが、京都府八幡市の洞ヶ峠だったのです。
「洞ヶ峠をきめこむ」という言葉は、この時に生まれたんですね。
山崎の戦いは、秀吉の勝利で幕を閉じ、その後、順慶は秀吉に仕えることになりました。
現在の洞ヶ峠
洞ヶ峠は、国道1号線沿いの京都府八幡市と大阪府枚方市の境目にあります。
現在、この場所には、洞ヶ峠と書かれた大きな看板があり、藁葺屋根の茶屋が建っています。
この茶屋付近には、何度も訪れたことがあるのですが、いつもお店の中は薄暗く、営業しているのかどうかわからない状況です。
でも、お店は、ちゃんと営業しています。
名物は、大きなボタモチです。
私は、食べたことがないのですが、相当大きいようです。
「やっぱり笑顔が一番^^」さんの下記記事にボタモチの写真が掲載されています。通常のボタモチの2倍の大きさはありますね。お値段は210円。
洞ヶ峠へは、車の他に京阪バスで行くことができます。
京阪電車の樟葉駅、もしくはJR松井山手駅から京阪バスに乗車し、バス停「福禄谷」で下車し、数分歩くと洞ヶ峠に到着します。
何か決断しないとならないことがある時は、洞ヶ峠で休憩しながら、のんびりと思案すると良い結論が出るかもしれませんね。