京都市北区の深泥池(みどろがいけ/みぞろがいけ)の近くに貴船神社が建っています。
貴船神社と言えば、左京区の鞍馬寺近くの貴船神社が有名です。
左京区の貴船神社と深泥池の貴船神社。
両者には何か関係があるのでしょうか。
遠くて大変だった貴船神社への参詣
左京区の貴船神社は、賀茂川の水源にあたる場所に建っています。
平安遷都以来、御所の御用水、都の人々の生活用水、農業用水として賀茂川の水は利用されていたため、昔から貴船神社は水を司る神様として崇敬されていました。
そのため、多くの人が貴船神社にお参りをしていたのですが、ただ、都から遠いという難点がありました。
そこで、江戸時代前期に深泥池の農民たちが、貴船神社の分霊を当地に勧請し、わざわざ左京区の貴船神社まで参詣しなくてもよいように鞍馬街道筋の当地に社殿を創建したのです。
これが深泥池の貴船神社の始まりです。
深泥池貴船神社の社殿は、山のふもとに建っています。
鳥居の近くには、「ちから石」という直径30cmほどの石が置かれていました。
どういった言い伝えがあるのかわかりませんが、この石を持ち上げることができたら、かなりの力持ちですね。
鳥居をくぐって石段を上ると右手に小さな社殿が建っています。
しっかりと水の神様にお参りしておきましょう。
社殿の後ろには、立派なご神木が立っています。
樹齢がどのくらいなのかはわかりませんが、これだけ大きな木なので、社殿が建てられた江戸時代からこの地に存在していたのではないでしょうか。
秋葉神社とすぐき
深泥池貴船神社の境内の一番高い場所には、秋葉神社が建っています。
近くの石碑には、「すぐきの神様秋葉神社の縁起」と書かれています。
秋葉神社は、1200年前から当地に祀られていたそうです。
しかし、明治時代の廃仏毀釈によって社殿が打ち壊されてしまいました。
村人たちが、社殿を修復せずにいたところ、大火災が発生し、家財農具一切が焼失。
失意の中、村人たちが焼け跡を整理していると、どの家も漬物桶は燃えていましたが、中身は焼け残っていました。
空腹に耐えていた村人たちは、焼けた良い匂いにひきつけられます。
そして、村長が漬物桶の中身を1本試食したところ「酸い茎や」と言いました。
これが、漬物のすぐきの始まりと伝えられています。
賀茂の名産すぐきは、このような偶然から誕生したんですね。
冬の深泥池
深泥池貴船神社の参拝後は、近くの深泥池へ。
冬に訪れたので寒々しい景色でしたが、空気が澄んでいたので、空と雲が水面に映っていました。
寒い中、鴨が元気に泳いでいます。
水中に何度も潜って魚を捕まえようとしていましたが、私が見ている間は、1匹も捕まえることはできませんでした。
鴨たちも冬の漁は、大変そうですね。
なお、深泥池貴船神社の詳細については以下のページを参考にしてみてください。