京都御苑にあった縣井は京都三名水のひとつ

京都には、名水が湧き出る場所がいくつもあります。

特に有名なのは酒蔵が建ち並ぶ伏見ですが、京都市中心部にも名水が湧き出る場所が多くあります。

京都市上京区の京都御苑内にも、縣井(あがたい)と呼ばれる名水が湧き出る井戸が残っています。

残念ながら、現在は涸れてしまっていますが、以前は京都三名水のひとつに数えられたほどの名水が湧き出していました。

縣井の跡

縣井があるのは、京都御苑内の北西です。

最寄駅は、地下鉄今出川駅で、北西から京都御苑に入って少し歩くと縣井があります。

縣井の跡

縣井の跡

見た感じは、井戸から水を汲めそうなんですけど涸れています。

昔は、この井戸の近くに縣宮(あがたのみや)という社があり、地方官吏として出世を願う者が、井戸の水で身を清めて祈願した後に宮中にのぼったそうです。

付近には、五摂家のひとつである一條家の屋敷もありました。

後に明治天皇の皇后となった一條美子の産湯に用いられた井戸水と言われているのが縣井だそうです。

また、大和物語では病気を治す水とも紹介されており、井戸と辺りのヤマブキの風情は後鳥羽上皇の歌にも詠まれているとのこと。

縣井の他の京都三名水は、染井と左女牛井(さめがい)です。

左女牛井は、京都市下京区の西本願寺の近くにありますが、こちらも縣井と同じく涸れています。

平安時代には源氏の邸宅があった場所としても知られていますね。

もうひとつの染井は、京都御苑の東隣に建つ梨木神社(なしのきじんじゃ)の境内にあり、今でも水が湧き出しています。

参拝者なら染井を汲めますから、梨木神社にお参りするときはペットボトルも持っていきたいですね。

京都御苑の近くには、他にも名水が湧くところがたくさんあります。

京都御苑の西隣の菅原院天満宮神社では、菅原道真が産湯に使ったとされる井戸がありますし、京都御苑の少し東に建つ清荒神でも名水が今も湧き出していますね。

さらに京都御苑の南東にある下御霊神社(しもごりょうじんじゃ)でも名水を汲めます。

この辺りの名水に共通しているのは、口当たりが柔らかいことです。

これらの名水を汲んで持ち帰り、飲み比べてみるのも良いですね。

なお、京都御所の詳細については以下のページを参考にしてみてください。

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