東山に京都らしい景観を作り出している八坂の塔

京都市内で最も古都の風情を感じることができるのは、まちがいなく東山でしょう。

その東山の中でも、特に京都らしい景観をのこしているのが清水界隈ですね。

二年坂や三年坂に建ち並ぶお店の外観は、昔ながらの建築物といった感じで、国内旅行者や観光客の方は、どこか懐かしい気持ちになるのではないでしょうか。

清水界隈を京都らしくしているのは、こういったお店だけではありません。

忘れてはならないのが、法観寺の八坂の塔でしょう。

五重塔だけのお寺

八坂の塔は、京都市内にある4つの五重塔のうちのひとつです。

清水の街中に突如出現する五重塔を見て、驚いた方もいらっしゃることでしょう。

街中に五重塔が出現すると、違和感を感じるかもしれません。

でも、下の写真のように坂の上から見下ろすように八坂の塔を望むと、本当は近くに建っているのにまるで遠くにあるかのような錯覚を覚え、不自然な感じがないんですよね。

昼間に見た八坂の塔

昼間に見た八坂の塔

周囲にある古風なお店と調和して、古都らしさを演出しています。

八坂の塔は、法観寺というお寺の建物です。

五重塔があるお寺は、他にもたくさんの建物を持っているのですが、法観寺の建物は八坂の塔ただひとつだけ。

昔からそうだったのかと思う方もいらっしゃるでしょうが、以前は、延喜式に七大寺のひとつとして記されていたことから、堂塔伽藍が建ち並んでいたはずです。

京都はたびたび戦乱となることがあり、多くのお寺が焼失しました。

それは、八坂の塔も同じで、治承3年(1179年)に八坂神社と清水寺の争いによって類焼したり、永享8年(1436年)に炎上したりと、幾たびも燃えます。

でも、そのたびに源頼朝や足利義政といった時の権力者によって再建され、現在でも、その姿を残しています。

他の建物は再建されず、五重塔だけが再建されたということは、この場所に八坂の塔がないと、なんだか物足りないといった気持ちが、京都人の中にあったのかもしれませんね。

夕暮れ時の八坂の塔

八坂の塔は、昼間に見るのも良いのですが、夕暮れ時に眺めると、さらに情緒が増します。

下の写真は、夕方に高台寺の近くから撮影したものです。

夕暮れ時の八坂の塔

夕暮れ時の八坂の塔

八坂の塔の後ろに京都タワーが見えますね。

昔ながらの塔と近代の塔を一緒に眺めるのも味があります。

夕日を浴びてオレンジ色になった八坂の塔。

夕日に染まる八坂の塔

夕日に染まる八坂の塔

上の写真では、左上の方に電線が写っていますが、現在では、この界隈は無電柱化されています。

ちなみに無電柱化の工事は2011年4月15日に完成しています。

電線がなくなったことで、八坂の塔がより京都らしい景観となりました。

夜に見た八坂の塔

夜に見た八坂の塔

すっかり日が暮れ、街に明かりが灯る時間帯の八坂の塔も、一度は見ておきたい景色です。

東山花灯路でライトアップされた八坂の塔も、また違った味わいがありますね。

ライトアップされた八坂の塔

ライトアップされた八坂の塔

以前は、八坂の塔をあまりきれいだと思っていなかったのですが、無電柱化の影響でしょうか、最近は、京情緒を感じられるすばらしい五重塔だなと感じます。

昔の人が、焼失しても何度も再建した理由がわかるような気がします。

なお、八坂の塔の詳細については以下のページを参考にしてみてください。

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