一重と八重の花が咲く御車返しの桜・常照皇寺

4月下旬になると、京都市内の桜はほとんど散ってしまい、観光客の方も少なくなります。

この時期になると、ほとんどの方の頭の中から桜が薄れていることでしょう。

でも、京都市内でも山の上に行くと、まだまだ見ごろの桜が残っています。

京都市右京区の旧京北町(けいほくちょう)に建つ常照皇寺も4月下旬に桜が見ごろを迎えます。

バスに揺られてのどかな風景を楽しむ

京都駅からJRバスに乗車し、約1時間30分山道を進むと周山に到着します。

途中、神護寺で有名な高雄や世界遺産の高山寺が建つ栂尾(とがのお)を通り、深い山の中へと入っていきます。

くねくねと曲がる山道沿いには、整然と並ぶ北山杉。

長いトンネルを抜け、さらに山の中に入っていくと、やや盛りを過ぎてはいるものの、多くの桜が花を咲かせていました。

まるで10日ほど前に時間が逆戻りしたようです。

周山に到着してからは、ふるさとバスに乗り換えます。

バスの中は、私一人だけ。

事実上貸切です。

ふるさとバスの窓からは、雄大な山が見えます。

そのふもとには、田畑が広がっています。

都会で暮らしていると、このようなのどかな風景がなんとも新鮮に感じますね。

バスに揺られること約20分。

バス停「山国御陵前」に到着です。

バス停近くのそば屋さんには、紅枝垂れ桜が咲いていました。

山国御陵前

山国御陵前

京都駅から山国御陵前までの交通費は、JRバスが1,150円、ふるさとバスが410円です。

バスの本数が少ないので、常照皇寺に行く前に下記ホームページを確認しておくことをおすすめします。

参道の枝垂れ桜が満開

常照皇寺の参道は、バス停「山国御陵前」からすぐです。

参道のソメイヨシノは、ほとんど終わりかけ。

参道

参道

長い参道を進んでいくと、常照皇寺の境内の後ろにどっしりとした山が見えてきます。

その上には、すがすがしい青空が広がります。

青空と山

青空と山

山門の近くには、遠くからでも満開とわかる枝垂れ桜があります。

立派な枝垂桜です。

参道の枝垂れ桜

参道の枝垂れ桜

バスの中が私一人だけだったので、常照皇寺に訪れている方はいないだろうと思ったのですが、どこからやって来たのか、観光客の方がたくさんいらっしゃいました。

皆さん、お参り前に上の枝垂れ桜と一緒に記念撮影をしています。

観光客の方の多さを不思議に思いながら歩いていると、駐車場に観光バスが停車しているのに気づきました。

どうやらツアーを利用しているようですね。

山門をくぐり拝観受付へ向かいます。

拝観料は志納制となっており、300円から500円を納めます。

財布から500円玉を取り出し箱の上へ。

おつり200円が返ってくるかと思ったのですが、お寺の方にその気配はありません。

100円玉を3枚用意しておくべきでした。

見ごろの御車返しの桜

玄関から建物内に入り、まずは方丈へ進みます。

縁側から庭園を鑑賞。

庭園

庭園

山の上の桜の木から、ひらひらと花弁が舞い、池に落ちていきます。

水面に浮かぶ花弁たちは、お互いに身を寄せ合い花筏を作っていました。

花筏

花筏

庭園の鑑賞後は、方丈の正面に植えられている御車(みくるま)返しの桜を見に行きました。

御車返しの桜

御車返しの桜

江戸時代に後水尾天皇(ごみずのおてんのう)が、あまりの美しさに思わず車を引き返したことから、その名が付きました。

ちなみに後水尾天皇は、比叡山が最も美しく見える場所を10年以上かけて探し出し、その地に離宮を造営するなど、風流な人だったようです。

御車返しの桜が珍しいのは、1本の木に一重と八重の花を咲かせることです。

観光客の方たちが、近くに寄って一重と八重の花を確認していました。

どちらかと言うと、八重の方が多く、一重を探すのに時間がかかってしまいましたが、両方とも写真に収めることができました。

一重と八重の花

一重と八重の花

上の写真の大部分は八重ですが、一重もしっかり写っていますので、探してみてください。

常照皇寺に訪れたら見ておきたいのが、天然記念物の九重桜(ここのえざくら)です。

しかし、ちょうど満開ということを知って常照皇寺にやって来たのに、残念ながら花は完全に散っていました。

あと3日ほど早く来るべきでしたね。

散ってしまった九重桜

散ってしまった九重桜

九重桜の隣の左近の桜は、上の方は花が咲いていたものの、下の方は、ほとんど散っていました。

左近の桜

左近の桜

この左近の桜は、京都御所の紫宸殿(ししんでん)の前にある左近の桜を株分したものです。

時折吹く風に左近の桜が、舞い散ります。

桜吹雪を撮影したのですが、花か雨か雪かよくわからない写真になったので、掲載は控えます。

強い風が吹いた後、苔のじゅうたんには、無数の花びらが落ちていました。

苔のじゅうたんに落ちた無数の桜

苔のじゅうたんに落ちた無数の桜

こういった景色を見ると、桜の季節の終わりを感じます。

桜は終わりに近づいていますが、境内のシャクナゲは見ごろを迎えています。

シャクナゲ

シャクナゲ

帰りのバスまで約50分ほどしか余裕がなかったため、30分ほどの拝観で常照皇寺を後にしました。

最後にもう一度、参道の枝垂れ桜を見ることに。

もう一度、参道の枝垂れ桜

もう一度、参道の枝垂れ桜

この枝垂れ桜は、山門付近から見下ろすのが一番きれいですね。

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